警察官も株式投資していいじゃない

警察官が株式投資をすること自体は法律上禁止されているわけではありません。
株式投資は預貯金同様資産運用ですから、地方公務員法で制限される副業には当たらないのです。

だからといって、自由に株式投資ができるかといえばそうとも言い切れません。
警察官の株式投資が問題になることもありうるのです。

警察官の株式投資が問題になるケース

警察官が株式投資をしても基本的には問題になりません。
ただし、いくつか問題になるケースもあります。

地方公務員法の服務義務違反

警視正以上でなければ、警察官は基本的に地方公務員です。
したがって、地方公務員法で定められた服務義務を遵守しなければなりません。
これらの服務義務に違反した場合、懲戒処分の対象となります。

株式投資をするにあたって抵触するおそれのある服務義務としては職務専念義務が挙げられます。

職務専念義務

地方公務員には職務専念義務が課されています。

地方公務員第35条は、「職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。」としています。

したがって、勤務時間中に株式の売買注文を出すことも、値動きを確認することも職務専念義務に違反したことになります。

また、この勤務時間には超過勤務時間も含まれますし、庁舎外にいる時間も含まれます。

職務専念義務に違反すると、懲戒処分の対象となります(地方公務員法第29条)。

警察職員服務規程違反

警察官に関しては、警察職員服務規定等の名称で訓令が定められています。
地方公務員法の服務義務以外の事柄についても服務に関することが規定されており、一般の地方公務員よりも厳しい服務義務が課されています。

警視庁・道府県警察本部が定める服務規定等に違反すると、地方公務員法の服務義務に違反した場合と同様に懲戒処分の対象となる場合があります。

中でも気を付けたいのが健全な生活に関する事項です。

例えば、警視庁の「警視庁警察職員服務規程」では、「計画性のある健全な生活態度を保持することに努め、いやしくも支払い能力を超えて借財をし、経済的破綻〔たん〕から職務に影響を及ぼすようなことがあってはならない。」と定めています。

そのため、多額の借入金で株式投資をするとこれに抵触するおそれがありますし、信用取引も場合によっては該当するでしょう。
また、損失が嵩んで経済的破綻するようなことがあれば、同様の取扱になると考えられます。

その他の法令違反等

当然ですが、法令に違反するような株式投資は絶対にダメです。

例えば、内部情報を使った株式の売買はインサイダー取引になり(金融商品取引法第166条1項)、刑事罰の対象となります。
一般では知りえない情報をもとに株取引をしてしまうと、インサイダー取引に該当することがあります。
警察官は捜査関連の情報などに触れる機会がないわけではありません。
休憩スペースで耳にした雑談であっても、インサイダー情報に該当することがあるのです。

また、警察官が報酬を得て他人の資金を継続的に投資すると金融商品取引法違反となります。

これらは現実味のない話でかもしれませんが、警察官は一般人よりも高度な法令遵守が求められます。
法令に違反することがないよう、一層の注意が必要です。

警察官の懲戒処分について

警察官の場合、一般的な公務員に比べ懲戒処分が重くなる傾向があります。
これはより重い法令順守義務があることに加え、法令違反等に対する住民から強い批判に応える必要があるからです。

また、懲戒処分はそれほど重くなくても、退職を半ば強制されることがあります。
退職を条件に表面的な懲戒処分を軽くするものですが、これは制裁が軽くなることを意味しません。
退職しなければ一層重い処分になりますし、その後の異動も厳しいものになるからです。

もっとも、退職を選んでも実質的には警察業界からの追放なので、いずれにせよ厳しい話にはなります。

株式投資に関する懲戒処分の具体的事例

古い事例ですが、株式投資に関する懲戒処分の事例があります。
おそらく地方公務員である警察官の事例ではないのですが、参考になるでしょう。

勤務中に株取引…警察庁キャリア職員を懲戒処分

2013/10/11 08:00
勤務時間中に繰り返し株取引を行ったなどとして、警察庁は45歳の男性キャリア職員を停職1カ月の懲戒処分にしました。
懲戒処分を受けたのは、長官官房付の男性キャリア職員です。職員は2010年3月から3年にわたり、当時勤務していた四国管区警察局のパソコンなどを使って、勤務中に約3900回の株取引をしていました。損失が出た際には、個人的な知り合いらから合わせて約800万円を借りたこともあったということです。警察庁は、国家公務員法の職務専念義務違反にあたるとして、懲戒処分としました。職員は、辞職の意向を示しているということです。

平成25年10月11日 テレビ朝日ニュース:https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000013967.html

勤務時間に職場のパソコンを使って株取引を繰り返していたもので、停職1カ月の懲戒処分となっています。
身分保障がされている公務員ですが株式投資のせいで懲戒処分となっています。
比較的重い処分となっているのは、辞職の意向を示しているものの、警察庁のキャリア職員という責任ある立場だったこと、借財を重ねていたこと等の事情が考慮されたものと考えられます。

警察官の株式投資はばれないほうがいい

警察官の株式投資が問題になるケースはありますが、常識的に行動している限り実際の問題になることはほとんどありません。
勤務時間中は警察官として働き、勤務時間外に手持ち資金の範囲で株取引をしていれば、大丈夫です。

それでも、警察官が株式投資をしていても、それを公言する必要はありません。
むしろ、ばれないようにしたほうがいいこともあります。

一般の公務員も株式投資がばれないほうがいい

一般の公務員も株式投資はばれないほうがいいことが多くなっています。
株式投資をしているというだけで、やっかみや敵対心など、周囲のマイナス感情を刺激するからです。
マイナス感情を刺激しても仕事がしにくくなるだけでいいことはありません。

警察官はもっとばれないほうがいい

地域性はあるかもしれませんが、警察は狭い社会です。
周りに知られてもいいことはありません。

隠すようなことまでする必要はありませんが、上から報告を求められるまでは自分から積極的に公言する必要もないでしょう。

地域性や組織の実情などを考慮して臨機応変な対応が必要です。

あまり目立たないように、手軽にできる形が一番だということになります。

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